夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。
ああ、この笑顔……。


水城くんはきっと、ずっと幸せに生きてきたんだ。


見つけた人に小さな幸せをくれるいちばん星みたいな笑顔はきっと、幸せな人にしかできないから。


再び手の中に視線を落として貝がらを眺めていると、いつの間にか水城くんはまた歩き出していた。


えっ、ちょっと待ってよ!


せっかくさっき追いついたのに、わたしはまた水城くんを追いかけて足場の悪い砂浜を走る羽目になった。


やっと追いついた水城くんの背中を見ながら、どこへ行くのだろうと不思議になった。


だいぶ砂浜の端っこの方まで来てもうこの辺何もないようなところなのに。


「どこに行くの?」と聞いても、水城くんは「着いてからのお楽しみ」と答えてくれないし。
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