夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。
電車の中から、流れる景色を見ていた。


外の景色はわたしの心とは裏腹に太陽が燦々(さんさん)と輝いている。


わたしの心は真っ黒な雲でいっぱいなのに、憎らしいくらいのいい天気に勝手にイラッとしてしまう。


わたしの名前は、織原花凪。


高校2年生の夏。


わたしは生まれ育ったこの都会の街を発った。


遠くに転校だというのに見送りは1人もいなかった。
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