夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。
腕の力を使って何度ジャンプしてもなかなか登れないわたしを見かねた水城くんは、笑いながら手を伸ばしてくれた。

わたしはその手を掴んで、やっと岩の上に登ることが出来た。


なんか前にもこんなことあったなぁ。


あの時といい今のこの状況といい、どうして水城くんの前で恥ずかしいことばかりしてしまうんだろう……。


「ふぅ……やっと登れた……」


「はははっ、本当に都会っ子だなあ」


息を弾ませて額の汗を拭っている私とは対照的に、水城くんは涼しい顔をしている。


……なんか悔しい。
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