夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。
「悩みがあるとさ、いつも海に来るんだ。優しい音を聞いて、大きな海見てたら俺のちっぽけな悩みなんかどうでもいいことみたいに思えてくるんだよね」


目を閉じて静かに波の音を聴く水城くんの横顔があまりに綺麗で、思わず口を半開きにして見つめてしまった。


教室でさんざん水城くんの横顔を見ていたのに、まるで今初めてそれを見たような気分にさせられる。


何気ない横顔じゃなくて、体全体で、心で波の音を聴いている横顔は……言葉にするのは難しいけど、なんだか海の一部のようにも見えた。


そんなことを言ったら変かもしれないけど、本当に、それだけで水城くんがどれだけこの海が好きかすぐに分かってしまうほどだった。
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