夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。
「……必死には余計だから……」


あああ、また水城くんに恥ずかしいところを見られてしまった……。


恥ずかしくて顔を手で覆っていると、水城くんに名前を呼ばれた。


「この岩に登る時は、ここを足場にするんだよ」


そう言って彼が指さしたところは、少し段差ができていて足をかけられるようになっていた。


それを使って登ってみせる水城くんに続いてわたしも登ってみると──。


「えい。あっ、登れた!」


あれだけ登れなかったこの岩に、いとも簡単に登ることができてしまった。


「……な?」


「うん」
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