夜になる前にわたしを照らしてくれたいちばん星は君でした。
そして、彼女とすれ違った瞬間、まるで世界がスローモーションになったかのように感じた。


ふわっと風になびいて揺れたのは女の子らしい焦げ茶色のボブヘア。


守ってあげたくなるような華奢な体が印象的なその子は肌が真っ白で、ぱっちり二重の丸い目が綺麗だった。


濃すぎないグロスや薄めのメイクもよく似合っている。


目を奪われてしまうほどの美人だ。


着ている服はわたしのそう変わらないTシャツと短パンなのに、まったく違って見えた。


思わず振り返って彼女の後ろ姿を眺めてしまう。


わたしとはまるで違う、堂々とした歩き方だ。


綺麗な人……。


都会には綺麗な子もたくさんいたけど、それも比べ物にならないくらいの美人だ。


あまりに綺麗で気後れしてしまう。


……まるで、瑠璃色の女の子みたいな。
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