友達じゃないよっ!

そこには、


『織江ちゃん、今までありがとう。けれど、もう耐えられない。織江ちゃんは、あたしが逝っても生きて幸せになってね。良美』


と書かれてある。


良美……ということはまさか……。



「蒔田 良美さんと仲が良かったの?」



わたしの口から、すらすらと良美さんの名前が出てきた。



「ええ、そうよ。よく知ってるわね」



お母さんはまだ悲しんでいるのと、びっくりしているのが混ざった顔になった。



「聞いたことがあったの。調べたりしたらその人の名前とか顔写真とか出たから……」



わたしがそう言うと、お母さんは納得したように頷く。



「お母さんの1番の友達だったの。そして……良美ちゃんのお母さんは、私に『良美はあなたに、直接お礼を言いたかったかもしれないわ』ってお葬式で言ったの」



「え? じゃあ、わたし……」



良美さんとは、思っていたよりも関係があるということだったの……?


わたし、


お母さんが良美さんを裏切ったような感じにしてしまった。


だから、幽霊になってお母さんにそっくりだったわたしに、間違えてお礼を言った、ということ……?


やっぱり、わたしが幽霊を見たのは夢じゃなかった。


わたしは、そのことを改めて実感した。




< 11 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop