友達じゃないよっ!
ピンポーン。
家のドアにある呼び鈴を鳴らすと、紬が出てきた。
「急にごめんね。電話かけたりなんかして……」
「大丈夫大丈夫! ……で、どうしたの?」
わたしを家に入れた後、冷蔵庫の中にあったオレンジジュースをコップにつぎながら、紬が聞いた。
「昨日、頭に血をかぶった女の子が校舎から出てきたの……」
わたしは、昨日学校で会ったことを全部、紬に話すことにした。
親友である紬は、なんでも相談を聞いてくれる。
今日も紬はちゃんと聞いてくれていたが、わたしが話し終えるとあっけらかんと笑った。
「嫌だなぁ、そんなの。幻覚だよ、幻覚!」
「幻覚……かなぁ?」
「それしかないよ。だって、あり得ないじゃん。夏祭りで疲れちゃったんじゃない? 本物のお化けなんて、この世に存在しないでしょ」
自分でも分かっているつもりの正論を聞かされたわたしは、それ以上誰にも昨夜のことを話せなかった。