友達じゃないよっ!
夜になり、わたしはまた家を出て、学校へ向かった。
お母さんは、今日は遅くまで仕事があって家にいない。
行ったら、自分が怯えるだけなのに、どうしても彼女のことを気にかけてしまう。
「来てくれたのね……」
わたしの顔を見ては花が咲いたように笑う、幽霊。
幽霊って、こんな風に笑うのかな。
わたしが思う幽霊と、全然違う。
だって、お化けってニタァっと不気味に笑うもんじゃないの?
「あなた、蒔田 良美さん……なんだよね?」
わたしがおずおずと問いかけると、さっきよりもキラキラ輝くように幽霊は笑った。
「そうだよ! あたしの名前、覚えててくれてたの?」
「同じことを何度も言わせないで! わたし、あなたとは何の関わりもない!」
「織江ちゃん……」
やっぱり、名前が違うよ。
というか、織江ってお母さんの名前だし。
って、今はそんな風に思っている場合じゃないや。
「やっぱり人違いだよ。わたしの名前は、千草です」
「どこからどう見ても、織江ちゃんにしか見えない」
織江って、やっぱりお母さんのことかな。
けれど、お母さんがここの高校に通っていただなんて聞いたことがない。