友達じゃないよっ!
「そんなことを言われても、わたしはあなたのことについて何も知らない! これ以上、頭がごちゃごちゃするようなことを言わないで!」
彼女に向かって、不意に声を荒らげてしまったわたし。
「そんなことを言わないで。だってあたし、あなたに感謝してるんだもん。そんなにあたしが早く逝っちゃったことを怒ってるの!?」
良美さんは悲しそうに叫んだけれど、やっぱりわたしの言っていることを信じてくれない。
「わたしが怒ってるのは、そこじゃないの。何度言っても信じないんだもの。ずっと人違いだって言ってるじゃない!」
わたしが言うと、彼女は観念したように俯いた。
「そう……。でも、そこまで織江ちゃんに似てるなら、全く関係がない感じがしなくて……」
「そんなに似てるの?」
思わず気になってしまい、わたしはそう聞いた。
彼女が生前この学校の生徒だったからなのか、良美さんと全く関係がないと言い切れないのは、わたしも思っていたからだ。
「うん。だから言わせてほしいんだよ。ありがとう……。ありがとう、ありがとう……」
この間は、逃げることしかできなかった自分が嘘みたい。
わたしは、彼女が謝りたいと思っていた相手ではないのに、なぜかそこで彼女の『ありがとう』という声を聞きながら立ち尽くしていた。
「ありがとう、本当にありがとう……。ずっと忘れないよ……」
最後にそう言った後、良美さんはすうっと消えた