有 料 彼 氏
あたしたち3人を占ったなら、あとは誰を占うのだろう。……あれ。
「瑠々子は、占ったの?」
3人を占ったかどうかすら、わからなかった。早とちりだった。
「占ってないよ」
朋実が口を開いてから、
「幸せ真っ只中のひとを占ってもさあ」
また、髪の毛をくるくると。
瑠々子は頬をかいた。瑠々子は大人しくて、なんというか、いい意味で地味だと思う。
彼女の深爪が目に入る。
あたしもとりあえず、自分の爪を見た。
うっかり切り忘れ続けた小指の爪が割れているくらいで、長さは標準だと思う。
茶髪のお団子の中が絶妙に蒸れていて、「まじで夏きらい」とぼやいた。
視界の端で瑠々子が控えめに相槌をうっている。
あたしは瑠々子がきらいだ。