有 料 彼 氏
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「どうせなら、本借りて帰ろっか」
朋実の言葉に頷いた瑠々子に、舌打ちをしたくなる。
瑠々子は、ぜんぜん喋らない人間だ。
ぜんぜん喋らなくても、朋実と幼なじみだということだけで、平穏に平凡に生きながらえている──いや、平凡以上だ。
きらいだなんだと浮かべながらも、定期的に彼氏がいいひとかどうか確認してしまったり、目がそっちに行ってしまったり、お節介の魂を湧かせるひとだから。
定期的に彼氏がいいひとかどうか確認する、それって、もしかすると、もしかしなくとも。
失礼なこと。
密かに瑠々子が怒っていたとしても、あたしは知らない。
事実そうであって、あたしがいつか知ったとしても、きっと、心配は拭えない。
そんな仲なのだ。一生。