有 料 彼 氏
恨めしい占い本を返却した朋実が、「ゆず」と呼ぶ。
「あんたが補習だったあいだに瑠々子と借りたから、場所まで案内するよ」
「補習のことにはもうふれないで……」
英語、苦手なんだよ。
「昨日って言えばよくない?わざとでしょ、補習って言葉つかったの」
「ははは、細かいことは気にしない」
見た目はギャルな朋実。見るからに優等生な瑠々子。どちらも揃って、勉強が得意。
あたしだけだ。
「……」
うしろをついてくるだけの瑠々子に苛立つ。べつになんとも言わないけどさ。
指先をいじっている。たぶんだけど、会話に入っていいのかなだとか、そんなことでうじうじしている。湿っぽいやつだ。
堂々としていれば?と思う。でも、あたしのこういうところが瑠々子を居心地悪くしているとありありとわかって、さらにむかついた。