センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人
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いつの間にか 俺は 少し 微睡んでいた。
夜が明けた機内は バタバタ動き始めて。
CAが 機内食を 配っていた。
もう少し…もうすぐ 葉月に会える。
俺は 葉月を見つけることが できるのか…
昨夜 葉月の職場の 所長から 連絡があった時
俺はまだ 自分の職場で 残務処理をしていた。
「工藤君。さっき 町田さんから ラインが来て。今 マレーシアにいるらしいよ。」
「マレーシア?クアラルンプールだ。」
「何か 心当たり あるの?」
「はい。来年 2人で行こうって 言っていたんです。」
「とりあえず 無事みたいだから。町田さんが 戻ったら よく話し合って。」
「ありがとうございます。」
電話を切った瞬間に 俺は
クアラルンプール行きを 決めていた。
上司に 簡単な事情を 話し。
最低限の 引継ぎをすると
俺は 事務所を 飛び出した。
確か 羽田から 深夜便が 出ているはず…
パスポートを取りに 家に戻る 電車の中
スマホで 航空券を 予約して。
俺は 何も持たずに 羽田空港へ 急いだ。
葉月… 葉月…… 葉月。
どんなことをしても 探すから。
クアラルンプールって 聞いた途端
俺は 胸を 締め付けられた。
切なくて…
俺が いつも 葉月に話していたから。
来年は 一緒に 行こうって 言っていたから。
『どうして 1人で 行ってしまったんだよ…』
葉月は どんな気持ちで
クアラルンプールに 行ったのか。
今 1人で 何を考えているのか…
考えれば 考えるほど
俺は 居ても立っても 居られなくなった。