センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人
それから 葉月の事務所に行くことが
俺は 楽しみになっていった。
葉月は いつも真剣な顔で
パソコンに向かっていた。
「どう?少しは 慣れた?」
「いえ。まだ 知らないことだらけで…」
「焦らないで。チョコ買ってきたから。町田さんも 食べてね。」
真っ直ぐな性格で いつも 一生懸命な葉月。
葉月が だんだん 仕事を覚えていくことも
事務所のスタッフに 溶け込んでいくことも
俺は いつも 嬉しく 見守っていた。
「工藤君。町田さん 良い子だろう?覚えも早いし。助かるよ。」
所長が 意味あり気に 俺に話しかける。
「そうですね。頑張ってますね。」
「最近 工藤君 よく来るね?」
「えっ?そうですか?進捗の確認ですよ。」
「まぁ いいけどね…」
ニヤっと笑って 俺から 離れる所長。
葉月に対する 俺の気持ちは
早いうちから 所長に 見破られていた。
葉月は 仕事にも 俺にも
少しずつ 慣れていって…
俺が 入っていくと
爽やかな笑顔を 向けてくれるようになった。