センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人
抑制が 効かなくなりそうなほど
葉月とのキスは 熱くて。
俺の唇は 確かに 葉月に 受け止められていた。
「奏斗…コーヒー 淹れるね。」
葉月は 静かに 唇を離すと
俺から 離れようとする。
夢中で 葉月の腰を 抱き寄せて。
カウンターまで 移動する俺に
「もう。どこにも行かないから。大丈夫よ。」
葉月は 微かに笑って 俺の腕から 逃れようとする。
「違うよ。葉月と 離れたくないんだ。一瞬でも…」
俺は まだ 感情が昂っていて。
気持ちを 伝えようとすると
涙が 溢れて しまいそうだった。
俺よりも 落ち着いている葉月は
やれやれという顔で 俺を見る。
一瞬一瞬の 葉月の表情さえも
俺の心を 揺さぶって…
「奏斗。私達 東京に帰ったら 別れよう。」
コーヒーを 一口飲んで 葉月は言う。
真っ直ぐ 俺を見つめる目は 悲しく澄んでいて。
葉月は 1人で 一生懸命 考えていた…
こんなに 遠くまで 1人で来て。
誰もいない場所で じっと考えていた。
ごめん 葉月… 葉月を 悲しませて。
「葉月… 俺とカンナのこと 聞いてくれる?」
もう これ以上 葉月に 悲しい思いは させない。
葉月の目を見て 俺が言うと
葉月も 真っ直ぐ 俺を見て 頷いた。