【web版】好きでいてもいいですか?-ひきこもり令嬢に購入された奴隷の話-(コミカライズタイトル:ひきこもり令嬢は購入した奴隷に溺愛される)

「ご主人様がお好きなようにお呼びください。奴隷とはそういうものです」

 従順な顔をして、作り声で定型文を答える。名前なんか初めからない。みんな勝手に呼ぶ。

 初恋の相手だとか、思ってはいけない相手だったり、死んでしまった旦那の名前。俺はいつだって、そういった名前で呼ばれてきた。

「困ったわね」

 イザベラはため息をついた。

「皆さんはどんな名前を付けたの?」
「この間までは、アルベルト、その前はレオ、マルコって言うのもありましたね」
「その中に気に入っている名前はある?」
「まさか! 新しい名を付けてください。貴女のための名前で、貴女に呼ばれたいのです。ご主人様」

 今までの主人をいちころに転がしてきた完璧な微笑をたたえて、すがるようにイザベラを見つめた。
 イザベラはオレのキメ顔を見て顔を赤く……していないだと?

 イザベラは心底めんどくさそうにため息をついた。
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