気がついたら好きだった
「もう少し冷静に2人とも話し合いましょう、
まず、凛さんは、K大しか考えられないってことは、そこでしか出来ないことがあるってことですよね?理由を詳しく教えてくれませんか?」
「はい、以前母と将来の事を、話したことがあって、K大の特別支援教育学部に入って免許を取って、卒業後に、学校の先生になりたいって私が言ったら、頑張ってね、応援するわ!って言ってくれて...」
「そうだったんですね...
私は、感心しました。
凛さんは、やりたい事があって、それに向かって頑張っていて...今時の子たちは、なんとなく大学に進学する子が多いので...」
「俺は、一本にしてダメだったら働くっていうのは、考えが甘すぎると思うんです...
働くって大変なことじゃないですか、
受験が終わって1〜2ヶ月で、就活なんてなめてるよ…凛」
「うーん、私は、この学校で何回か3年生を送り出していますが、
第1志望の大学がダメで、滑り止めに合格して、仕方なしに行った子が、何人かいたのを見てきました。
その子達は、やっぱり後悔するんです。」
「後悔?」
「はい、例えば、自分は、仕方なしに行った大学だけど、
周りの子たちは、行きたくて行った大学だとしましょう、
周りが、凄くキラキラして、みんなイキイキしてているなかで、自分は、1人取り残されて行くようなそんな気分になるんです、
まぁ、これは、私の実体験なんですがね...
だから、そんな想いはして欲しくないと私は思っているんです」
「じゃあ、先生は、浪人した方が良いと?」
「一個人の意見として聞いてくださいね、
1番はやっぱり第1志望にすんなり合格するコトですが、もし駄目なら、その次も、自分が正しいと、やりたいと思う事を自分で責任を持って決めるべきだと思います、
他人があーだ、こーだ、言って決めるのでなく、あくまで自分で考えて決めた進路に行くべきだと私は思います、
だから、凛さんが、バイトしながら、勉強するのは賛成です」
「あのー、私、バイトしながら勉強するとは言ってないです」
私が、そう言うと先生は、首を傾げながら
「えっ?」
と言った。
「私、もし駄目ならもう諦めて働くって言ってるんです」
「えっ、なんで?そのお母さんとの事とかも、もうなかった事にするんですか?」
「はい...お金ないから仕方ないんです、
1年バイトしながら勉強したってたかが知れてますし...
もともと、大学に行くって話は、
知り合いの人が出してくれるって言ってくれたお陰で初めて成り立ったことですし、もう今回が駄目なら、家も出て行くつもりなので」
そう言う、先生は、黙り、健兄は、
「は?なに?出てくって…」
と、また、喧嘩ごしになった。
「もう少し2人で今後の事を話し合ってもらって、休み明けにどうなったか教えてもらっていいですか?」
そう先生が言い、この面談は終わった。
教室を出ると、
「俺、この後バイトだから」
そう言って、健兄と別れた。