気がついたら好きだった
診察室に入ると椅子に座るよう言われた。

「体調は?」

「普通です」

「ふーん、熱は?」

「ないです」

「へー、いつ測ったの?」

「測ってないけど、ないです」

唯斗君は、大きな溜息をつき、体温計を渡してきた。

「はい、測ってね」
ニコッと笑う唯斗君が怖くて私は、大人しく体温計を脇に入れた。

ピピッピピッ
体温計をとると、無言で私から奪い取りパソコンに数字を打った。

「聴診するから服捲って」
淡々と進めていく

「呼吸普通にして....
じゃあ次点滴するから、そこのベッドに横になって」

私は、ベッドに移動し横になると、
唯斗君が、点滴の準備をしながら

「朝、喘息出ただろ?」
と、聞いてきた。

「えっ、ううん、出てないです」
そう私が言うと、疑いの目で見られた。

「まぁ、いいや、腕まくって出して」

「いや、本当に出てないからね」
と、私が言った言葉は無視され、淡々と腕に消毒をし、点滴を刺した。
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