気がついたら好きだった

「えっ?だって、そっちが敬語使えってさっき」

「あれは、病院内での話だって!今は違うだろ?」

「あーそーですか!気持ち悪くてすみませんね」

「何怒ってんの?凛?あっ、そういえば、診察室から出るとき涙目じゃなかった?」

「は?」

「は?って、さては、俺が言ったことに傷付いたんだろ?」
と、ニヤニヤしなが聞いて来た。

「傷付いてないし、理不尽過ぎて腹が立っただけだから」

「は?それはどういう意味かな?」

「自分は、診察室で凛って呼んだりするじゃん!」

「あー、俺は、誰も聞いてない時を狙って呼んでるからいいんだよ!」

「なっ、さっき私が呼んだ時だって2人っきりで誰も居なかったじゃん」

「いや、谷さんが近くに居た」

「えっ?」

「あの時、看護師の谷さんが扉の向こうに居て、何回か、盗み聞きしに来てた」

「うそ⁉︎」

「うそじゃない」

そのあと、あからさまに機嫌が悪くなり、何も話さないままタワーマンションに着いた。
< 44 / 118 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop