気がついたら好きだった
それからしばらくしてから、
唯斗君と
腕に包帯を巻き、氷を頬に当てている谷さんが私の病室に入ってきた。

「谷さんは、そこの椅子座って、伊吹さんは、本当にどこも怪我してないか見せて」
と、唯斗君に言われ、腕、足、顔を見られた。

「怪我は、ないみたいだな」
その一言を聞き谷さんが、

「そう、伊吹さんに怪我が無くて本当よかったわ」
と、少し涙目にして、白々しくそう言った。

「伊吹さん、何があったか教えてくれるかな?」

「えっと...谷さんに...言われたコトがアタマに頭にきて..私が頬を...叩いたのは、本当で...でも...」
と、涙を堪え、そして怒りを抑えながら、喋る私に谷さんが口を挟んだ。

「あのー、喋り辛そうだから、私が話していいですか?」

「あぁ」
そう言い唯斗君は、谷さんの話に耳を傾けた。

「私が相沢先生の側にいるのが、伊吹さん気にくわないみたいで、でも、仕事だから、って...そう言うと.......」
と、泣きながら言った。

そして唯斗君が私に

「伊吹さん、谷さんに謝って」
と、言ってきた。
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