気がついたら好きだった
渋々谷さんが出て行くと、唯斗君はベッド横の椅子に座り私の事をじーっと見た。

「大丈夫か?震えてる」
私の手をギュッと握りそう言った。

私は、その手の上に涙を落とし泣いた。

悔しくて、ムカついて、苛立って、
でも、怖くて...
いろんな感情が入り乱れながら、

「谷さんの腕の傷は、私じゃないです」
と、唯斗君に伝えたのに、

ただ普通に、
「うん」
と、頷くだけで何も言ってくれなかった。

私が、落ち着いたのを確認し、腕時計をチラッと見た。

「もう、行かないと…
絢斗に連絡して健が来るまでいてもらうようにするから」
そう、唯斗君は言ってくれた。

「絢斗に連絡しなくていいです、大丈夫です」
って言ったのに…


聞いては貰えず…



30分後、絢斗が来た。
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