気がついたら好きだった
家に帰ると健兄が居た。

「おかえり」

「ただいま」

「唯斗君から聞いたけど、今日病院行ったんだってな、喘息でてるの気付いてあげれなくてごめんな」

「ううん、全然大丈夫だよ、直ぐに収まったし大した事ないから」

健兄が少し困ったような顔をした。

「凛さ、バイト辞めろよ」

「えっ」

「バイト始めたからだろ?また喘息出だしたのって」

「ううん、そんなことないよ」

「そんなことあるだろ?」

「...、じゃあ、バイト辞めたら私は大学に行けるの?行けないでしょ」

健兄が、悲しそうな顔になる事ぐらい分かっていた。でも、もう後には引けなかった。

「今までどんだけ頑張ってきたか知らないくせに...健兄はいいよね、普通に大学行けて」

その場から逃げるように家を出た。
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