気がついたら好きだった
「.......」

「やめて...」

腕を掴む力が徐々に弱まっていき、私の上からどいて、その横に力無く座った。

「凛、ごめん、怖い思いさせて、もうしないから、だからそんな怯えた顔で泣かないで...」
絢斗が、そう言って立ち上がり扉の前に移動した。

「......」

「本当...ごめん…謝っても、許してくれるわけないよな…これからは、もう近ずかないようにするし、俺から話しかけるのもやめ...」

絢斗がそう言い終わる前に身体が勝手に動いた。

「えっ、なに?なんで凛、俺に抱きついてんの?」

「だって、そんな顔しながら、勝手に絶交宣言するから」

「えっ」

「仕方ないから付き合ってあげてもいいよ」

「怖くないの?」

「怖かったよ、でも、今は怖くない、だって絢斗だもん」

「少し震えながら言われてもな...」

「じゃあちょっと待って」
そう言って、私は深呼吸してから、
「もう、大丈夫、だから、お試しで付き合ってあげる」

「ありがと」

「うふふ、でもその代わり、今みたいに私のこと襲わないって約束してくれたらね」

「あぁ、もちろん、俺からはもうそんな事しないよ」
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