気がついたら好きだった
「やっぱり、谷さんが仕掛けたんだな」

「やっぱりって、そう思ったのなら、なんであの時私に謝れって怒ったの?」

「この前も、言ったけど、叩いたのは事実だろ?」

「うん」

「なら、謝るべきだろ」

「そうだけど」

「酷いことを言われても手を出したら駄目だろ?
弱みを握られたら、終わりなんだから...」

「......」

「言葉はさ、
簡単に人を傷付ける事が出来る、けど、第三者には分かりにくい…

録音してないと証拠になりにくいんだからさ」

そう言って自分のポケットからボイスレコーダーを取り出し再生ボタンを押した。

「えっ、これって...」

「土曜日に、凛との会話を盗み聞きされて、探られたから、念のため病室から出る時にテレビ台の上に置いといたんだよ」

「それあるなら、私の話聞かなくて良かったんじゃ...」

「だから、さっき言っただろ?凛の口からちゃんと聞きたかったんだよ…
この証拠を、明日看護師長に提出するから、それで、今回のことは明るみになる、谷さんも辞める事になると思う」

「.....」

「だから、その前にしっかりと話を聞いときたかったんだ、凛にとって辛かった事をまた思い出させてゴメンな」

そう言って、
唯斗君は、泣いてる私の頭を優しくポンポンと触れてから自分の方へと抱きよせた。
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