気がついたら好きだった
「お茶の用意が出来たので良かったらどうぞ」
また優しい顔でお坊さんが言った。

「ありがとうございます」
そう言って、敷いてあった座布団の上に座った。

「いただきます」

「いただきます」

湯のみに入ったお茶を一口飲む。

ゴクッ

「美味しい」

思わず出た言葉だったがお坊さんは、

「そう、良かった」
と返事をしてくれた。

それから少しの沈黙が続き…






「凛さんは、学校帰りですか?」
制服の私を見てそう言った。

「学校帰りと言えばそうなんですけど...」
一度家に帰ってるしなぁ、と思い曖昧な返答をした。

「なんか訳ありみたいですね」

「まぁそうなんですが...あのー、なんで私の名前知ってるんですか?」

「一応住職なので...」

「すごっ」
また、思わず声に出てしまう。

「と言いたいところですが、住職でも、下の名前までは流石に覚えられないですよ」
と、お茶目に笑いながらそう言った。

「じゃあ、なんで分かったんですか?」
そう聞くと、私のカバンを手で指しながら

「すみません、それ見ました」
と言ったので、自分のカバンに目を向けると、薬の袋を見たことが分かった。
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