気がついたら好きだった
病室に戻ると、同じ病室の人の、朝ご飯がもう配膳されていた。

あまり出たくない病室から渋々出ると廊下に配膳のおばさんと、伊藤さんが、私に気付き持ってきてくれた。

「ケホッすみませんケホッコホッありがとうございます」

「あー、良かった、どこいったかと思って、伊藤さんに伝えてたとこだったから」

そう言って、おばさんは、私の元を離れて行った。

「伊吹さん、どこ行ってたの?」

「トイレです」

「トイレ?」

「はい、トイレ...行ってたんですケホッコホッ」

「そっか!相沢先生には、別に言わないからそんな顔しないで?」

私は、その言葉には何も反応せずに、
朝食のお味噌汁を見ながら伊藤さんに聞こえるように言った。

「今日も、赤だしなのかな...」

「赤だし嫌い?」

「はい、嫌いですコホッコホッ」

「私は好きだけどなぁ」



病室を出て行った伊藤さんを確認してから
朝食の蓋を全てとった。






「良かった、今日も、合わせだ」
そう呟き、お味噌汁から飲んだ。
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