気がついたら好きだった
「健兄、あのさ...私ご飯食べてなくて、だから、コンビニ行って来る」
「買いに行かなくても大丈夫だよ、今からうどん作るから、その間にこれ解いといて?」
さらっと、かわされてしまった。
仕方なく椅子に座り、紙をじーっと見てシャーペンを持った。
記憶力が、人より少し良い私は、答えだけは覚えていて……
「うどん出来たけど…解き終わったか?」
そう言ってテーブルにうどんを置いた。
「あと、もう少し」
「じゃあ、先に俺は食べとくわ」
5分後...
「まだ?うどん冷める!」
「あー、うん...」
「もう諦めて食べろよ?」
「うん、そうする」
私が、手を洗いに行き、椅子に座り直すと健兄は、既に食べ終え、さっき私が解いていた紙を手に取って見ていた。
「いただきまーす」
健兄が、一通り答案を見ている姿をチラチラ確認しながら、のんびりうどんをすすっていると、何故か無言で、紙を置き洗い物をしに行った。
私が食べ終わるのを見て、
「洗い物持って来て」
と言ってくれた。
「ごちそうさま」
「うん」
私が、何食わぬ顔で、自分の部屋に戻ろうとすると
「凛、そこに座って待っててくれる?
直ぐ洗い終わるから...」
「あー、うん」
そう言って私は薬を飲んでから、椅子に座って待った。