気がついたら好きだった
洗い物をし終わった、健兄が正面に座り、さっき解いてた紙を突き出した。

「凛、これどうやって解いた教えてくれない?」

「えっ、ここの式通りなんだけど」

「俺のこと、バカにしてる?」

「えっ?」

「これで、この数字が出るわけないだろ?」

「いや、出るし...」

「最後の問題さ、俺、数字少し変えたんだけど...テストの模範解答と全く同じって不思議⁈」
わざとらしくそう言ってきた。

「あー、これ、間違って引いてたからかな?」

「はぁ…」
健兄がため息をついた。
これは、そうとう、やばい.....

「お前さ、本当に大学行く気あるの?唯斗君がせっかくチャンスくれてるのにさ...」

「あるよ...」

「なら、なんで、こんな点数取って平気でいられんの?」

「平気?」

「そうだろ?間違ったとこ解き直して理解してないって...この問題なら入試にだって出る、これなら、入試受けるなっ!」



私も、もう、感情を抑えることが出来なかった。



「私は、自力でここまでやってきたの!
健兄なんかに言われたくない!
お母さんとお父さんに、塾に、行かせてもらってたのに、たまにサボってたくせに....
クラスのみんな...羨ましいくらいに恵まれた環境で勉強してるなかで、私は、絢斗にお願いして、塾のテキスト、コピーしてもらって、それでやっと...」





言いながら気づく...

解き直してないことは事実で、それの言い訳にもなってなくて...
私はただ、今までの頑張りを見て欲しくて…
よく頑張ってるって言って欲しかっただけだったんだと...

全てを言い終わる前になんだか情けなくなって、
自分の部屋に閉じこもった。

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