天使なんかじゃない!年下男子の甘い誘惑

私たちは間合いを取りながらジリジリと近づく。

それを何度か続けた後、

連打で打ってきた中段突きを受け止め

長い足で繰り出される、上段蹴りを華麗に避けた。


そして私の得意の上段回し蹴りで一本を取ることで試合はあっさり終了。

ヘルメットに当たったとは言え、光太くん身体が弾き飛ぶ。

ひゅ―――。

我ながらすごい威力だ。


「一本」という主審言葉で、光太くんは「あぁーー!!負けた!!」っと悔しそうに畳の上に大の字になる。

脱ぎ捨てたヘルメットも転がる。


「まだまだね。出直してきなさーいる」


私が道着を整えながら、髪を解くと訓練生たちからやいやいと歓喜が上がる。

師範は試合に見入っていた彼らに激を飛ばすものの、調子に乗った私が「応援ありがとう。」と微笑めば最大級の盛り上がりが見える。

この道場ではちょっとしたアイドル気分だ。


しかし、その気分を切り裂いたのは思いもよら無い人物だった。

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