タイムトレイン
第2章

過去〜卒業式の1日〜

目を覚ますと、そこはベッドの上だった。
意識が飛んだあの後、家のベッドまで来たんだ…。
ハッとして時計を見ると、今日の日付けは3月15日。
「え、本当に…?過去に戻ってる!?」
飛び跳ねたように自分の部屋を出ると、下の階から懐かしいご飯の匂いと料理の音がした。
これは…。
恐る恐る下の階へと降りていく。緊張して心臓がバクバクした。
1歩、また1歩と降りていくと、台所に立つ人の姿が目に入ってきた。
この後ろ姿は……
「お母さん!!」
「あらハル、おはよう。どうしたの?朝から大きな声なんか出しちゃって。珍しいわね」
私が1番逢いたかった人…お母さんがそこには居たのだ。
私、本当に過去に戻れたんだ…。お母さんにまた逢えたんだ!
喜びで涙が溢れそうになる。
そんな私を見てお母さんは少し困ったような顔をした。
「ちょっと、どうしたの。卒業するのが寂しいの?お母さん早起きして、ハルの好きなもの沢山作ったからこれ食べて元気だして!」
「うん…うん。食べる。沢山食べるよ…っ」
お母さんが作ってくれたものなら何でも食べるよ。
だって……今食べなきゃ、もう永遠に食べられない。
だから私は、普段あまり食べない朝御飯を今日は食べる事にした。
「今日の卒業式、お母さんちゃんと行くからね。ハルの晴れ姿を見届けなくっちゃ」
「うん。ありがとう」
微笑むお母さんを見ていると、胸が締め付けられる。
私はなんでこの笑顔を守ってあげられなかったんだろう…。
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