解体
「!!!っっはるか!!」
そう叫んだが時既に遅し。
無数の黒い蔦は、遥の体を貫いていた。
即死だろう。
そのまま、蔦が影に戻っていき、
遥も一緒にゆうくんの方へ連れていかれた。
若たちは何も言えないでいる中、
「...ゆうくん?」
そう問いかければ、前髪で見えなかった
顔が。左右非対称の瞳が。
月明かりに照らされて
鋭く光ってこっちをみた。
そして、自分の前に来た穴だらけの遥をみた。
次の瞬間。
あり得ないことが起きた。
ゆうくんが遥の体に触れただけなのに
遥の体に開いた無数の穴は塞がっていき、
遥が血反吐を吐いて、息を吹き返した。