解体


「!!!っっはるか!!」


そう叫んだが時既に遅し。


無数の黒い蔦は、遥の体を貫いていた。


即死だろう。


そのまま、蔦が影に戻っていき、


遥も一緒にゆうくんの方へ連れていかれた。


若たちは何も言えないでいる中、


「...ゆうくん?」


そう問いかければ、前髪で見えなかった


顔が。左右非対称の瞳が。


月明かりに照らされて


鋭く光ってこっちをみた。


そして、自分の前に来た穴だらけの遥をみた。


次の瞬間。


あり得ないことが起きた。


ゆうくんが遥の体に触れただけなのに


遥の体に開いた無数の穴は塞がっていき、


遥が血反吐を吐いて、息を吹き返した。


< 117 / 145 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop