解体


総司も意味がわからないといった表情で。


洋祐も困惑した表情でオロオロしている。


その時、組員の誰かが呟いた。


「化け物」


と。


それを引き金に他の組員たちもそれぞれ


ゆうを罵倒し始めた。


「怪物」


「恐ろしい」


「気持ち悪い」


「人間じゃない」


「人外」


そう言われているゆうを見て


なにか。言わなければ。


ゆうが。傷ついてしまう。


そう。思っているのに体が。口が。


動かない。


総司と洋祐も同じく動けないようだった。


そのとき、俺のわきを横切っていったのは。


時雨と夕立。


夕立がゆうを抱えて時雨と自室に戻っていった。


俺たちは、何も言えずに


ただその背中を見ているだけだった。

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