解体
洋祐side.


俺の隣に座るゆうは、昨日教えてもらった


スプーンやフォークを少し震える手で使っていた。


おそらく、まだうまく手先に


力が込められないんだろう。


ゆうの手首・足首の赤黒いアザは消えそうにない。


長年、ずっと繋がれたままだったと思うと


とても心苦しい。


繋がれたままで動かしてこなかったから


余計に動かしにくいんだろう。


もっと早くに潰しに行ければよかった。


そう、ゆうが来てから思うときがある。


けど、それは他の皆も同じだろうから


言うことはない。


「...。」


ゆうが服を引っ張ってきたので


「.....なに?」


そう聞くと、ゆうが俺の飲んでいた物を


指差したので


「...これ?これは炭酸だから、


まだゆうの喉にはキツイからだめ。」


そういうと、ゆうは頷いてまたお粥を食べ始めた。


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