夏のせいだよ
気づけよ

1

「ねぇ、」


クーラーがガンガンに効いて、
夏の暑さを忘れさせてくれる、図書館。



本独特の匂いと、人気のなさが心地いい。



ただ、それを邪魔する奴が一人。



「おーーーい、聞いてる?」


ページをめくる手を止め、視線をそっちにやる。



夏が似合う、眩しいくらいの笑顔に、
若干の苛立ちを覚えた。




「……なに」



「本読んでないでさ、家帰ってゲームしよー」




そう言いながらそいつはだら〜っと机にふせた。



「先帰れば」



「湫も一緒に帰るのー!」



プクっと頬を膨らませ、こちらを睨む。


なに、お前。

小学生なの。


「大体さぁー、夏休みっていうのに、学校の図書館に籠るってどゆことよー!
てかなんで学校は夏休みなのに開いてるのよー」



「うるさい」



ぎゃーぎゃー騒ぐこいつの所為で、全然進まない。
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