溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
「あ、白石病院……」

白石家はホテル業だけでなく、病院経営も行っている。
グループ企業の健康診断が行われる白石病院には梨乃も毎年来ている。

「そうだ。だから心配しなくていい。まあ、明日もう一度検査をして異常がなければ退院できるらしい」
「よかった。でも、費用はちゃんと自分で用意します。あ、翔矢に連絡は……まさか」
「いや、わざわざ心配をかけなくてもいいだろうと思ってしてない。俺がついてるし。今日はご両親のところに行ってるんだろう? 昨日、メッセージが入ってた」

梨乃はそれを聞いてホッとした。
翔矢はこの間の面談や予備校の模試の結果からK大の合格までもうひとふんばりと言われ、勉強時間を増やして頑張っている。
だから余計な心配はかけたくない。
おまけに今日は久しぶりに両親と過ごしているのだ。
侑斗の配慮はありがたい。
それにしても。
翔矢はいつの間に侑斗とメッセージのやり取りをするほど親しくなったのだろうと梨乃は不思議に思った。
梨乃はといえば、侑斗と連絡先を交換して以来一度礼を伝えただけでその後のやりとりはしていない。

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