溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
「弟なんて、そのうちお姉さんの手を離れて独り立ちするんですよ。いい加減弟ばなれして自分も恋人を見つけて……あ、恋人といえば侑斗さんとは実のところどうなんですか?」
「どうって……」
それまでののらりくらりとした様子から一変、小野は前のめりで梨乃に問いかけた。
ホテル内で梨乃と侑斗の関係が噂になっているが、面と向かって聞かれたのは初めてだ。
心なしか同僚たちの視線がいっせいに自分に向けられたようで、梨乃は口ごもる。
「おい、個人的な話を業務中に持ち込むな」
木下の呆れた声に、小野は「でも、気になりません?」と懲りない笑顔を梨乃に向けた。
「白石家の御曹司、それも若手最後の独身男性ですよ。もしも折原さんと結婚なんてことになったらすごくないですか? それこそ玉の輿、シンデレラストーリーの体現ですよ」
「小野君……玉の輿なんてそれはな……」
梨乃は小野の言葉を否定しようとしたが、ふと言い淀み口を閉じた。
侑斗と結婚して玉の輿にのるなどあり得ないが、侑斗の両親は梨乃が侑斗の婚約者だと信じている。
侑斗の父親が従業員たちの噂からそれが事実ではないと知れば侑斗が困るに違いない。
「どうって……」
それまでののらりくらりとした様子から一変、小野は前のめりで梨乃に問いかけた。
ホテル内で梨乃と侑斗の関係が噂になっているが、面と向かって聞かれたのは初めてだ。
心なしか同僚たちの視線がいっせいに自分に向けられたようで、梨乃は口ごもる。
「おい、個人的な話を業務中に持ち込むな」
木下の呆れた声に、小野は「でも、気になりません?」と懲りない笑顔を梨乃に向けた。
「白石家の御曹司、それも若手最後の独身男性ですよ。もしも折原さんと結婚なんてことになったらすごくないですか? それこそ玉の輿、シンデレラストーリーの体現ですよ」
「小野君……玉の輿なんてそれはな……」
梨乃は小野の言葉を否定しようとしたが、ふと言い淀み口を閉じた。
侑斗と結婚して玉の輿にのるなどあり得ないが、侑斗の両親は梨乃が侑斗の婚約者だと信じている。
侑斗の父親が従業員たちの噂からそれが事実ではないと知れば侑斗が困るに違いない。