溺愛は蜜夜に始まる~御曹司と仮初め情欲婚~
「木下部長は俺が新入社員のときの上司なんだ。当時は経営企画部の課長でかなり厳しい鬼上司だった」
「鬼とは言い過ぎだろう。いずれホテルの経営に携わる侑斗と諒太……いや、社長のために泣く泣く厳しい言葉をかけていたんだからな」
椅子の背に体を預けて機嫌よく笑う木下に、侑斗は苦笑している。
「木下部長くらいですよ。俺と諒太に出来の悪い白石家の若造なんて言いながら仕事を押し付けたのは」
そう言いながらも侑斗は木村を慕っているのだろう、その表情は楽しそうだ。
梨乃は手にしていたパソコンや資料をテーブルの片隅に置いた。
「それで、あの。侑斗さんがここにどうして? それに伝手ってなんですか?」
首をかしげる梨乃に、木下は席に着くよう身振りで指示しそれまで侑斗と見ていた資料を梨乃の手元に差し出した。
「え、なんですか?」
遠慮がちに資料を手に取った梨乃は、向かいに座る侑斗をちらりと見るが笑顔を返されただけで要領を得ない。
「そのショコラティエ、フランスでかなり有名らしいぞ」
嬉々とした木下の声に、梨乃は急いで席に着き資料に視線を落とした。
「鬼とは言い過ぎだろう。いずれホテルの経営に携わる侑斗と諒太……いや、社長のために泣く泣く厳しい言葉をかけていたんだからな」
椅子の背に体を預けて機嫌よく笑う木下に、侑斗は苦笑している。
「木下部長くらいですよ。俺と諒太に出来の悪い白石家の若造なんて言いながら仕事を押し付けたのは」
そう言いながらも侑斗は木村を慕っているのだろう、その表情は楽しそうだ。
梨乃は手にしていたパソコンや資料をテーブルの片隅に置いた。
「それで、あの。侑斗さんがここにどうして? それに伝手ってなんですか?」
首をかしげる梨乃に、木下は席に着くよう身振りで指示しそれまで侑斗と見ていた資料を梨乃の手元に差し出した。
「え、なんですか?」
遠慮がちに資料を手に取った梨乃は、向かいに座る侑斗をちらりと見るが笑顔を返されただけで要領を得ない。
「そのショコラティエ、フランスでかなり有名らしいぞ」
嬉々とした木下の声に、梨乃は急いで席に着き資料に視線を落とした。