強引な無気力男子と女王子
柳井真紘
【悠理side】
「お、おい‥‥‥!」
新しいモデル仲間であり、同級生でもある柳井真紘は俺の制止も聞かず、部屋を飛び出していってしまった。
‥‥‥あの反応、間違いないな。
真紘のことはよく学校で見かけていた。
アイツも女に取り巻かれている事が殆どで、よく目立った。
その時から、俺は真紘が表裏のある人間なんではないかという疑惑を抱いていた。
直感だ。
何故だか分からないが。
真紘の笑顔はいつも作った感じがした。
それが確信に変わったのはつい最近。
ーバチンッ!!!
乾いた音で、俺は目を覚ました。
「おー!悠理起きた起きたー!!珍しー!!」
「うるさ」
「えー!?悠理ったら冷たぁい!」
ウザいほど甘い、男に媚びるために作ったような声にウンザリする。
またこいつか。
「奥江、いい加減にしろよ、毎日毎日。付き纏われる俺の身にもなれ」
「話しかけてくれたぁ!やったぁ!でも、奥江じゃなくて百華、って呼んで欲しいなぁ!」
こいつ、頭大丈夫か?
それとも耳が悪いのか?
「ね?百華だよ!も、も、か!」
「‥‥‥‥‥‥」
「呼んでくれないのぉ?」
誰が呼ぶか。
奥江は瞳をウルウルさせて上目遣いで俺を見る。
俺はそんな奥江を無視する。
「百華ー!!!先生が呼んでるよー!!」
「ええー。仕方ないなあ。じゃあね!悠理!次は名前で呼んでね!」
奥江は女友達に呼ばれて教室を出て行った。
「おい瀬戸!何百華ちゃん無視してんだよ!?」
「あんな美少女、滅多にいないぞ!」
「羨ましい奴だな!」
男子が騒ぎ立てる。
ただのバカだ。
男子からの視線がうっとおしくて、逃げるように窓のほうに顔を向ける。
そういえば、俺を起こした音は何だったんだ?
記憶に残っているのは、バチンッという音。
あれは人がビンタされた音に聞こえる。
ふと、窓から首だけ出し、下の方を見る。
‥‥‥アイツ、何してんの?
上から見下ろす形だから、誰なのか顔が分からない。
しかし、ソイツが怒っていることは一目で分かった。
何故かって?
なんかソイツ叫びながら校舎の壁殴ってんの。
ふいにソイツが顔を上げた。
柳井真紘だった。
俺は素早く顔を引っ込める。
危く目が合うところだった。
ふっと小さく息をついた。
アイツが柳井真紘?
いや、柳井真紘はあんな乱暴な奴ではなかった。
じゃああれは誰だ?
でも絶対アイツは柳井真紘だった。
‥‥‥いつも猫をかぶっていたとか?
一番ありえそうなものではある。
それぐらい、いつもの王子キャラの柳井真紘とは別人に見えた。
でも、さっきの方が人間味があると言うのか何と言うのか。
さっきの方が自然だった。
‥‥‥今の所、誰も真紘の素に気づいてないのだろうか。
いないのなら何か嬉しい。
「おい、瀬戸?お前何笑ってんだよ」
「は?」
クラスメイトに言われて無意識のうちに俺が笑っていたことに気づく。
「瀬戸が笑うとか、明日台風なんじゃね?」
「うるさい」
「お、おい‥‥‥!」
新しいモデル仲間であり、同級生でもある柳井真紘は俺の制止も聞かず、部屋を飛び出していってしまった。
‥‥‥あの反応、間違いないな。
真紘のことはよく学校で見かけていた。
アイツも女に取り巻かれている事が殆どで、よく目立った。
その時から、俺は真紘が表裏のある人間なんではないかという疑惑を抱いていた。
直感だ。
何故だか分からないが。
真紘の笑顔はいつも作った感じがした。
それが確信に変わったのはつい最近。
ーバチンッ!!!
乾いた音で、俺は目を覚ました。
「おー!悠理起きた起きたー!!珍しー!!」
「うるさ」
「えー!?悠理ったら冷たぁい!」
ウザいほど甘い、男に媚びるために作ったような声にウンザリする。
またこいつか。
「奥江、いい加減にしろよ、毎日毎日。付き纏われる俺の身にもなれ」
「話しかけてくれたぁ!やったぁ!でも、奥江じゃなくて百華、って呼んで欲しいなぁ!」
こいつ、頭大丈夫か?
それとも耳が悪いのか?
「ね?百華だよ!も、も、か!」
「‥‥‥‥‥‥」
「呼んでくれないのぉ?」
誰が呼ぶか。
奥江は瞳をウルウルさせて上目遣いで俺を見る。
俺はそんな奥江を無視する。
「百華ー!!!先生が呼んでるよー!!」
「ええー。仕方ないなあ。じゃあね!悠理!次は名前で呼んでね!」
奥江は女友達に呼ばれて教室を出て行った。
「おい瀬戸!何百華ちゃん無視してんだよ!?」
「あんな美少女、滅多にいないぞ!」
「羨ましい奴だな!」
男子が騒ぎ立てる。
ただのバカだ。
男子からの視線がうっとおしくて、逃げるように窓のほうに顔を向ける。
そういえば、俺を起こした音は何だったんだ?
記憶に残っているのは、バチンッという音。
あれは人がビンタされた音に聞こえる。
ふと、窓から首だけ出し、下の方を見る。
‥‥‥アイツ、何してんの?
上から見下ろす形だから、誰なのか顔が分からない。
しかし、ソイツが怒っていることは一目で分かった。
何故かって?
なんかソイツ叫びながら校舎の壁殴ってんの。
ふいにソイツが顔を上げた。
柳井真紘だった。
俺は素早く顔を引っ込める。
危く目が合うところだった。
ふっと小さく息をついた。
アイツが柳井真紘?
いや、柳井真紘はあんな乱暴な奴ではなかった。
じゃああれは誰だ?
でも絶対アイツは柳井真紘だった。
‥‥‥いつも猫をかぶっていたとか?
一番ありえそうなものではある。
それぐらい、いつもの王子キャラの柳井真紘とは別人に見えた。
でも、さっきの方が人間味があると言うのか何と言うのか。
さっきの方が自然だった。
‥‥‥今の所、誰も真紘の素に気づいてないのだろうか。
いないのなら何か嬉しい。
「おい、瀬戸?お前何笑ってんだよ」
「は?」
クラスメイトに言われて無意識のうちに俺が笑っていたことに気づく。
「瀬戸が笑うとか、明日台風なんじゃね?」
「うるさい」