強引な無気力男子と女王子
第七章

あの子からの告白

 「ま・ひ・ろ~!!!」
 「今日はいつにも増してテンションが高いね」
 「当ったり前じゃん!今日は文化祭なんだから!」
 そう言って日葵はニカッと笑った。
 そう、今日は文化祭。
 どこのクラスでも慌ただしく、そしてどこかソワソワと最後の準備を進めていた。
 それは1年B組でも同じ。
 皆お互いの衣装を見合ってキャッキャキャッキャはしゃいでいる。
 その気持ちもわからなくもないけど。
 ただ、今日は私よりもクラスメイトの注目を集めている生徒がいる。
 「姫野くん可愛い~~~!」
 「ちょっと写真撮ってもいい!!??」
 「こっち向いて!」
 「あれが・・・姫野?」
 「やべ、普通に付き合えるんだけど」
 なんと、歩夢くんは今日は眼鏡をせずにコンタクトで登校してきたのだ。
 最初、クラスメイト達は「え、誰?」とでも言いたげで妙によそよそしかったんだけど、歩夢くんだと分かった途端に教室中に驚きと興奮と好奇心が広がった。
 現在、アリスに仮装した歩夢くんの周りには人だかりが出来ている。
 歩夢くんを囲んでるのは、ほぼ女子なんだけど・・・。
 女子は歩夢くんの写真を撮ろうとしたり、ひたすら褒めたり。
 男子は・・・遠巻きに「可愛くね?」「お前、なんか顔赤いぞ?」「お前もだよ!」って少しだけ顔を赤く染めながらぼそぼそ呟き合ってる。
 その男子たちも女装しているわけだから、ちょっと面白い光景だ。
 当の本人はこういう扱いに慣れていないのか、あたふたというか、おどおどというか、とにかくそんな感じだ。
 そんなところも女子たちにとっては可愛く見えるのか、より一層「可愛い!」という声が大きくなる。
 ・・・流石に助けたほうがいいかな。
 「真紘、行って来たら?」
 「そうする」
 日葵も同じことを考えていたみたいで。
 小悪魔のコスプレをした日葵を置いて、人だかりのほうに向かう。
 ・・・小悪魔って男女逆転コスプレに入るんだろうか。
 まあ、似合ってるし本人も気に入ってるみたいだからなんでもいいか。
 「あの、ちょっとごめん」
 「真紘くん、どうしたの?」
 少し強引に、輪の中に入っていく。
 私に話しかけた女子の目はもちろんハートだ。
 ・・・ちょっと私、ナルシスト?
 「文化祭実行委員の最後の集まりがあるから、歩夢くん連れてくね」
 「え・・・・・・」
 私は歩夢くんの腕を掴むと女の子たちの返答も聞かずに教室を飛び出した。
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