なぜか無能力の私に、世界の行く末が委ねられました。
 ドラゴンに対抗しようと、能力の腕に自信のある者たちが集まり、ドラゴンへ能力を発揮します。

 しかし全く…。

 炎に焼かれても。

 水のベールに包まれても。

 肌を凍らされても。

 風にあおられても。

 雷に打たれても。

 ドラゴンには、効きはしなかったのでした。


 誰もが、国の壊滅(かいめつ)を悟った、その時。

 勇者様が、現れました。

 勇者様は、能力を使おうともせず、ただ“一振りの剣”だけでドラゴンに立ち向かいました。

 その剣さばきは、群を抜いていました。

 華麗に宙を舞い、様々な剣術を見せる勇者様。

 群衆たちは、喜びに溢れました。


「勇者様が、我らを救ってくださる!」


 彼らはそう知って、生きる希望を、見出しました。


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