ONLY YOU~過ちの授かり婚~
頭取なんて、銀行内ではふんぞり返り、金融庁のお偉方に頭を下げていればいいのに。
俺は外でも内でも、ご機嫌伺いの日々。

大人しくしていれば、副頭取に勝手に婚約者まで決められていた。

「純也、本当に『共栄薬品』の令嬢の愛奈さんと結婚しないのか?」

「しない。アイツは『法人営業部』に居た時から知ってるが…完全な玉の輿狙いだ」


俺は壬生に強く返す。

「お前の方こそ結婚しないのか?」

「俺?あ…寧音ちゃんとなら結婚してもいいかな?」

「寧音ちゃん?あ…「ムーン」のキャバ嬢か・・・」

「でも・・・彼女にはその気ないんだよな…」

「それは残念だな」

「まぁ、愛奈さんとダメになっても…純也はモテモテだから」

「別に…女は全員…伊集院家の名は欲しいだけだ…俺自身を見ていない」

寄って来る女は適当に性のはけ口にして、あしらっていた。
冷たい男だと言われながらも、俺はそれでもいいと思っていた。

ましてや、誰かと結婚してこの忌まわしい血を分けた子供なんて望んでもいなかった。



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