ONLY YOU~過ちの授かり婚~
三月初旬。
俺は母の日記帳の存在を知るフリーの記者と接触した。
でも、彼は俺から日記帳を奪い、ヤクザと結託して伊集院家を強請ろうと企んでいた。

俺は彼の真の目的を知り、刺客のヤクザを撒こうと逃げ回る。
隠れ蓑にとネオンの明かりが消えかかったBARに入った。

美しい木目のカウンターに酒の種類も豊富で上がった息を整えようとカクテルをオーダーした。

やはり、容易に他人を信用するものではなかった。

本当にこの街は淀んでいる。
俺の琴線に触れたのは儚い光を放つダムに沈んだ街の清流で見た蛍だけ。

母が亡くなり、父が亡くなり…復讐の為に生きて来た俺は無感動で無関心な人間になっていた。

でも、心は感情の渇望感に喘いていた。

一人で生きていくコトに少し疲れていたのかもしれない。

そんな俺に隣のスツールに若い女性が腰を下ろした。
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