ONLY YOU~過ちの授かり婚~
熟睡している彼女は電話には出られない。
川瀬も諦めたのか彼女のスマートフォンは二度と鳴らなかった。

俺は彼女を組み敷き、無防備に眠る彼女の可愛い寝顔を見つめる。
少しだけ不埒な気分になっていると、いきなり目を開けて、俺を見つめた。

「徹さん・・・」

「えっ?」

トロンとした微睡んだ二つの瞳で俺を見ていた。
アルコールのせいだろうか、とても艶めかしく見え、一気に本能を煽られる。

「徹…さん。行かないで・・・」

彼女は俺を徹さんだと勘違いしていた。

人違いだと言っても、首を振って一向に受け入れては貰えなかった。

「私を見捨てないで…」

「だから…俺は…」

俺は盛大な溜息を吐く。

「お願い…抱いて・・・」

ギリギリの理性で抑え込んでると言うのに、それを言われたら、どんな男でも一線超えてしまうぞ。

そして、瞳を涙でウルウルさせて俺の首許に手を回して来た。



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