幼なじみ〜好きだったよ、君のこと〜

「おい、バカ小百合！早く走れ！！」

「何でそんなこと言うんだよ〜！！昨日夜遅くまでゲームしてたのは凉も一緒でしょ〜！？」

川田小百合（かわださゆり）は重い通学かばんを手に走りながら少し前を走る宮前凉（みやまえりょう）に文句を言う。しかし、文句を言いながらもその顔はどこか嬉しそうだ。

小百合と凉は家が隣同士で、幼なじみというものだ。高校二年生になっても仲が良く、互いの家でゲームをしたりすることもある。しかし、今日はゲームのしすぎで互いに寝坊して学校に走っているところだった。

「もうすぐチャイム鳴るぞ！！」

「待って！！凉、速すぎるって！！」

陸上部の凉に小百合は置いて行かれそうになる。しかし、凉が振り向いて「しゃあねえな」と小百合のかばんを持ってくれた。

「かばん持ってやるんだから、死ぬ気でついて来いよ」

そう言いニヤリと笑うと凉は走り出す。小百合は「だからちょっと待ってって〜！！」と言いながら足を動かす。その間にも、胸が高鳴っていった。