意味がわかると怖い話/逆さのサカ子さん
はっと気づいて急ブレーキをかけなければ、私はぶつかっていた。サカ子さんに。


数センチの至近距離で見た彼女の顔はより恐ろしくて、息が止まる。腰が震える。足がもつれる。


ぐらり。


――倒れる!! 当たり前に、そう思った。


だけど私の体は、自然の摂理に反してピンと立つ。


そこでようやく思い出した。


サカ子さんと出会った人間は、動きが全て反対になる。


前に進むと後ろへ。右へ行くと左へ。実際とあべこべに動くのだ。


そして。


「ネェ、質問ニ答エテ?」


「……答えない」


サカ子さんの質問にも、もちろん反対に答えなければならない。


それが出会ってしまった人間が、唯一生き残る道なのだ。
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