意味がわかると怖い話/逆さのサカ子さん
「ドウシテココへ来タノ?」


そう私に呼びかけるサカ子さんの声は、意外にも普通だった。


もっと地獄の底から響いてくるような声を想像してたんだけど、鈴の鳴るようなとはいかないまでも案外綺麗な声をしている。


閑話休題。


「美術室に用がなかったから」


はっきりと答えると、サカ子さんはまたじろりと目玉を動かした。


その隙に階段へ1歩踏み出す。もちろん下の方へ。


けれど。


……降りられない。


考えてみればわかることだった。ここは3階、これ以上上の階はない。


全てが反対になるサカ子さんの前では、下に行くということは上に行くということで……つまり私は、この3階に閉じ込められてしまったのだ。
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