意味がわかると怖い話/逆さのサカ子さん
「……やっちまった」


放課後、もう帰ろうかという段階になって、私は1人頭を抱えていた。


美術の提出物の締め切りが、今日までだったのを思い出したのだ。


美術の担当である武松はゴリゴリのゴリラみたいなおっさんで、美的センスなんて皆無に等しいくせに提出物にはやたら厳しい。


私はすでに2回出し忘れているから、


「次出さなかったら留年させるぞ」


と脅されていたにも関わらずまた忘れてしまったのだ。


いや、まだ忘れてはいない。今から美術室に行って提出物を取ってきて、素知らぬ顔で職員室のゴリ松の机の上に置いておけば留年は免れる。


だけども。美術室は旧校舎の、よりによって3階にあるのだ。


取りに行くべきか、やめておくべきか。うーん、悩む。
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