悔しい心音に望む



私にとって “ いい人間 ” 。
それがきみに該当しないとか、些細な主観のなかでしか私を決められないとか。


近江が、近江の良さを知ってなくて当然。


程度の知れたナルシストになんてならないでよ。
って、こういうこと、言うつもりでわらって。




「私は近江に認められるほど可愛い女だと思ってる」




実際的外れな言葉が継ぐ。


これもしかたないのか、と言われると、そうじゃなかった。


そうじゃなくてこれは。


ううん、恋だ。




「自分で言う?」


「知らないでしょ、きみは」


「じゃあ教えてよ」




意思で隠して温めて、満足できない。


瞳。微かに微笑んで。


だから。




「自分の外見は正直どうでもよかった」




スカートも規定通り。着こなしは見本。黒髪は長く伸ばしてストレート。化粧なんて縁遠い。


違反なんてしないし、周りとはそれなりに話を合わせて。


でも、きみが。




「近江が言うから、グレードアップしてみせたわけだけど」




流石に気づくでしょ。


って考え方はちょっと押し付けがましい。




「ね、不誠実?」







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