悔しい心音に望む



さっきよりずっと、居心地悪いつめたさ。


沈黙が空気より重くて潰されそう。


不誠実って、きみが最初に言ったんだ。


不純かどうかは私が決めた。


でもでも、ねえねえ。


カウントダウン。
3・2・1を刻むけれど、特別ルール駆使、ぜったいに0にはならない。


そろそろ知って。


知らないで。


私はずっと教えてる。




「……百亜」


「うん」




沈黙より数倍重そうに二酸化炭素を一度大きく吐き出して、いつも凜とした顔を、ちょっと崩して。




「知った気でいたんでしょう? 私のこと」




ほら。
きみの方が、タチ悪い。




「教えた気でいたんだろ、僕に」


「理解できるできないは近江次第なんじゃん」


「きみは教師に向いてないね」


「それジョーク? ぜんぜん面白くないよ」




わかったのなら、それでいいけど。


それでいいけど。


だけど。


ああ何だか歯痒く悔しい。


私はきみの一言で奈落に真っ逆さまだったのに。


悔しい。


なーんて。
言わないし。




「面白くない冗談を言う男に、きみはこんなに尽くすつもり?」







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